フロア型スピーカー(トールボーイ型スピーカー)は、床に直置きするタイプの大型スピーカーです。ブックシェルフ型とは異なり、ウーファーユニットを多く搭載できる大きなエンクロージャーを持つため、豊かな低音再生と圧倒的なスケール感が最大の魅力。一度その音に魅了されると、なかなか手放せない存在です。
この記事では、JBL・DALI・Bowers & Wilkins(B&W)・KEFといった定番・人気ブランドを中心に、「エントリー・高コスパモデル」「定番・高音質ミドルクラス」「伝統とステータスを味わうハイエンドクラス」の3グレードに分けて、それぞれ3モデルずつ紹介します。
これからフロア型スピーカーを選ぶ方も、現在お手持ちのモデルの価値を改めて確認したい方も、ぜひ最後までお読みください。
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エントリー・高コスパモデル(〜15万円前後/ペア)
「フロア型を試してみたい」「予算は抑えめに、でも音にもこだわりたい」という方に向けたグレードです。この価格帯でも、ブックシェルフ型では味わいにくいスケール感のある低音が楽しめます。
JBL STAGE A190

| 項目 | 仕様 |
| 形式 | 2.5ウェイ・バスレフ型(フロア型) |
| ユニット構成 | 25mmアルミドームツイーター × 1、200mmウーファー × 2 |
| 周波数特性 | 36Hz〜40kHz |
| 出力音圧レベル | 91dB(2.83V/1m) |
| インピーダンス | 6Ω |
| 外形寸法(W×H×D) | 260 × 1070 × 390 mm(グリル含む) |
| 質量 | 22.6 kg(1台) |
| 参考価格 | 約4〜5万円前後(1本) |
JBLはプロ用スタジオモニターや映画館向け大型スピーカーで世界的に知られるアメリカの老舗ブランドです。STAGEシリーズはそのJBLがホームオーディオ向けに開発したコストパフォーマンスモデルで、A190はシリーズのフラッグシップに位置づけられます。
特徴は、プロ用モニター開発から生まれた「HDIウェーブガイド」を採用したホーンツイーターです。リスニングポジションを問わず自然で明瞭な音像を再現します。200mmのダブルウーファーを「スタガーチューニング」と呼ばれる手法で接続することで、豊かな量感の低域と自然な中高域のつながりを両立。91dBという高い感度のおかげで、それほど高出力でないアンプでも鳴らしやすく、オーディオ入門の一台としても安心です。
「フロア型スピーカーって実際どんな音なんだろう?」と試したい方が最初に手を伸ばしやすい、信頼性の高いエントリーモデルです。
DALI OBERON 7

| 項目 | 仕様 |
| 形式 | 2ウェイ・3スピーカー・バスレフ型(フロア型) |
| ユニット構成 | 29mmソフトドームツイーター × 1、180mmウーファー × 2 |
| 周波数特性 | 36Hz〜26kHz |
| 出力音圧レベル | 88.5dB(2.83V/m) |
| インピーダンス | 6Ω |
| 外形寸法(W×H×D) | 200 × 1015 × 340 mm |
| 質量 | 14.8 kg(1台) |
| 参考価格 | 約7〜9万円(1本) |
デンマーク生まれのDALIはナチュラルで音楽的なサウンドキャラクターで知られるブランドで、エントリーラインでも高い完成度を誇ります。OBERONシリーズはその中でも「コスパ最高クラス」として世界中のオーディオファンから支持されており、OBERON 7はシリーズ最大のフロアスタンディングモデルです。
注目すべきはDALIの特許技術「SMC(ソフト・マグネティック・コンポジット)」をこのエントリークラスに初めて採用した点です。SMCはウーファーマグネットの鉄製ポールピースに組み込まれ、機械的な歪みを大幅に低減することで、リラックスした中音域と豊かなディテールを引き出します。
さらにウッドファイバーコーンと29mmの大口径ソフトドームツイーターの組み合わせが、DALIらしい繊細で自然な音の広がりを実現しています。
カラーバリエーションも豊富(ダークウォルナット、ブラックアッシュ、ライトオーク、ホワイト)で、インテリアに馴染みやすいデザインも魅力のひとつです。
ELAC Debut 2.0 F6.2

| 項目 | 仕様 |
| 形式 | 3ウェイ・バスレフ型(フロア型) |
| ユニット構成 | 1インチ・クロスドームツイーター、6.5インチ × 2 アラミドファイバーウーファー |
| 周波数特性 | 38Hz〜35kHz |
| 出力音圧レベル | 87dB(2.83V/m) |
| インピーダンス | 6Ω |
| 参考価格 | 約10〜13万円前後(ペア) |
約90年の歴史を持つドイツの老舗スピーカーブランドELAC。Debutシリーズは、TADやKEFでスピーカー開発を手がけてきた著名エンジニア、アンドリュー・ジョーンズがELACに移籍後に手がけた話題作です。
F6.2の振動板に採用されているアラミドファイバーは、一般的な素材と比べて剛性が高く軽量なため、低音の切れ味と正確なディテール再現に優れます。新設計のウェーブガイドにより高域の指向性も拡大され、広いリスニングエリアでも均質な音場を楽しめます。
また、CARB2規格のMDF材を使用したエンクロージャーは共振対策が徹底されており、ドライバーのポテンシャルをしっかり引き出す設計となっています。
ペアで10万円台という価格帯でこのクオリティを実現できるのは、エンジニアリングへのこだわりの賜物。コスパ重視ながら本格的な3ウェイサウンドを求める方におすすめできる一台です。
定番・高音質ミドルクラス(〜40万円前後/ペア)
「本格的なオーディオを楽しみたい」「長く使えるしっかりしたスピーカーがほしい」という方が選ぶグレードです。このクラスになると、各ブランドが磨き上げてきた独自技術が本格的に音質に反映されてきます。
Bowers & Wilkins 603 S3

| 項目 | 仕様 |
| 形式 | 3ウェイ・バスレフ型(フロア型) |
| ユニット構成 | 25mmチタニウム・ドームツイーター、150mm Continuumコーン FSTミッドレンジ、165mmペーパーコーンバス × 2 |
| 周波数レンジ | 29Hz〜33kHz(−6dB) |
| 感度 | 90dB(軸上1m / 2.83Vrms) |
| インピーダンス | 8Ω(最小3.0Ω) |
| 外形寸法(W×H×D) | 260 × 1020 × 402 mm(台座含む) |
| 質量 | 27.5 kg(1台) |
| 参考価格 | 約13〜16万円前後(1本) |
Bowers & Wilkins(B&W)は1966年に英国で創業し、BBCモニタースピーカーの開発実績でも知られる世界有数のスピーカーブランドです。600シリーズは「ハイエンドの技術をより身近な価格で」というコンセプトのもとに設計されており、603 S3はシリーズ最大のフロア型モデルです。
注目点は、上位の800 Seriesで培われた「Continuum(コンティニアム)コーン」素材を採用したFST(Fixed Suspension Transducer)ミッドレンジドライバーを搭載している点。
コンティニアムコーンは正確さと透明性で高い評価を受ける素材であり、ボーカルや弦楽器の中音域表現が際立ちます。さらに新開発のチタニウム・ドームツイーターは、歪みの少ないクリアで広域な高音を実現しています。
29Hzという低域の下限は、サブウーファーなしでも映画の重低音をしっかり再現できる力強さの証です。ミドルクラスで「B&Wの音」を初めて体験したい方に最適な入り口といえます。
Bowers & Wilkins 702 S3

| 項目 | 仕様 |
| 形式 | 3ウェイ・バスレフ型(フロア型) |
| ユニット構成 | カーボンドームツイーター、ミッドレンジドライバー、Aerofoilプロファイルバスコーン × 3 |
| インピーダンス | 8Ω |
| 参考価格 | 約33〜40万円前後(ペア) |
700シリーズは600シリーズと800シリーズ(ハイエンド)の橋渡しを担う、B&Wの中核ラインナップです。702 S3はそのフロア型モデルとして、「本物のオーディオ体験」を求めるオーディオファンに支持されています。
シリーズ専用に設計された「カーボンドームツイーター」は700シリーズの象徴的な技術で、高剛性・低質量のカーボン素材が鮮明な高域の解像度を生み出します。
3基の「Aerofoilプロファイルバスコーン」は翼断面形状にヒントを得た設計で、深く明瞭な低音を実現。さらに、下向きのバスレフポートにより床面を活用した自然な低音拡散も特徴のひとつです。
専用ミッドレンジドライバーが搭載されており、バスドライバーの動作による中音域への干渉を最小限に抑えた設計は、ボーカルや管弦楽の繊細な表情をリアルに伝えます。「B&Wサウンドを本気で楽しみたい」という方が最終的に行き着く一台として、中古市場でも人気が高い機種です。
KEF R11 Meta

| 項目 | 仕様 |
| 形式 | 3ウェイ・バスレフ型(フロア型) |
| ユニット構成 | 第12世代 Uni-Q® ドライバーアレイ(MAT™搭載)、165mm ハイブリッドアルミニウムバスドライバー × 4 |
| 外形寸法(H×W×D) | 1291 × 205 × 407 mm |
| 質量 | 36.5 kg(1台) |
| メーカー希望小売価格 | 902,000円(税込・ペア) |
1961年に英国で設立されたKEFは、コンピュータ支援設計を業界に先駆けて取り入れた、科学的アプローチを重視するスピーカーブランドです。R11 MetaはRシリーズ最大のフロアスタンディングモデルで、ミドルクラスの上端に位置しながら、実質的にハイエンドに匹敵する技術が凝縮されています。
最大の特徴は「MAT™(メタマテリアル吸収技術)」の搭載です。MATは迷路状の複雑な構造を持ち、ドライバー後方から発生する不要なノイズを最大99%吸収することで、歪みを排除した純粋で自然なサウンドを実現します。
KEFの象徴的技術「Uni-Q®」の第12世代ドライバーアレイは、ツイーターとミッドレンジを同軸上に配置することで理想的な点音源を実現し、リスニングポジションを選ばない均一な音場を生み出します。
HiViの年間ベストバイ2024でペア70万円以上クラスの第1位を受賞するなど、評論家・メディアからの評価も高いモデルです。
伝統とステータスを味わうハイエンドクラス(100万円〜)
音楽再生の限界に挑む、まさに「オーディオの頂点」に位置するグレードです。ブランドの技術・歴史・美学が凝縮された各社の看板モデルがそろいます。
Bowers & Wilkins 803 D4

| 項目 | 仕様 |
| 形式 | 3ウェイ・バスレフ型(フロア型) |
| ユニット構成 | ダイヤモンドドームツイーター、Continuumコーンミッドレンジ、Aerofoilコーンバス × 2 |
| 外形寸法(W×H×D) | 357 × 1165 × 511 mm |
| 質量 | 62 kg(1台) |
| 参考価格 | 定価352万円(税込・1台) |
800 Series Diamondは、B&Wの全技術が惜しみなく投入されたフラッグシップラインです。その名の通り、ツイーターのドームに天然ダイヤモンドを素材として採用しているのが最大の特徴で、ダイヤモンドは金属やカーボンでも実現できない剛性と自然な減衰特性を持ち、人間の可聴域をはるかに超える超高域まで歪みのない再生を実現します。
803 D4は800 Series Diamond中で比較的コンパクトなフロア型モデルですが、重量は62kgに達します。「タービンヘッド」と呼ばれる独立したミッドレンジキャビネットを頂部に持つ独特のデザインは、機能美の象徴です。バス・ドライバーからの振動をミッドレンジに伝えないデカップリング設計が、中音域の透明度を圧倒的なレベルに引き上げています。
一度この音に触れると、なかなか他のスピーカーでは満足できなくなるような「沼」の入り口となり得る一台です。
DALI EPICON 8

| 項目 | 仕様 |
| 形式 | 3.5ウェイ・バスレフ型(フロア型) |
| ユニット構成 | 29mmソフトドームツイーター × 1、10×55mmリボンツイーター × 1、165mmウーファー × 1、200mmウーファー × 2 |
| 周波数特性 | 35Hz〜30kHz(±3dB) |
| 外形寸法(H×W×D) | 1225 × 264 × 485 mm |
| 質量 | 47.5 kg(1台) |
| メーカー希望小売価格 | 200万円(税込・ペア) |
EPICON 8はDALIのハイエンドラインであるEPICONシリーズの頂点を飾るフロア型モデルです。「かつてない音楽を聴く歓び」というコンセプトのもと、DALIが長年にわたり蓄積した技術の結晶が注ぎ込まれています。
特筆すべきはソフトドームツイーターとリボンツイーターを組み合わせた「ハイブリッドツイーターシステム」です。リボンツイーターは超軽量の振動板で超高域を担当し、ソフトドームツイーターとの分担によって広大な周波数帯域を歪みなく再現します。
さらにDALIの特許技術SMCが磁気回路の歪みを徹底的に排除し、ウッドファイバーコーンが楽器の微細なニュアンスを余すことなく伝えます。
10層のラッカー仕上げが施されたキャビネットデザインは、まさに家具のような美しさ。音質だけでなく、所有すること自体が豊かな体験となる、まさに本物のハイエンドスピーカーです。
KEF Reference 5 Meta

| 項目 | 仕様 |
| 形式 | 3ウェイ・バスレフ型(フロア型) |
| ユニット構成 | MAT™搭載 Uni-Q® ドライバーアレイ(Tangerine Waveguide + アルミドームツイーター)、165mmハイブリッドアルミニウムバスドライバー × 4 |
| メーカー希望小売価格 | 3,190,000円(税込・ペア) |
KEFのReferenceシリーズは、同社がスピーカー設計で積み上げてきた60年以上の研究と製造技術の最高到達点です。Reference 5 Metaはシリーズ最大のフロア型モデルで、R11 MetaにもMATとUni-Qを搭載していますが、Referenceシリーズではそれぞれの技術がさらなる高次元へと引き上げられています。
Referenceシリーズ専用の「Tangerineウェーブガイド」は、ツイーターの音波の広がりを精密にコントロールし、空間全体に自然な音像を形成します。
さらに4基の165mmハイブリッドアルミニウムバスドライバーが生み出す低域は、量感と解像度を高い次元で両立させた圧倒的なものです。KEFが「Reference」の名を冠するに相応しい、まさに基準となるべき音を持つスピーカーです。
オーディオルームに鎮座するこの一台は、音楽を聴くというよりも「音楽の現場にいる」感覚を体験させてくれます。長年かけて手に入れた大切な一台として、心に深く刻まれるはずです。
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